大人の愛着障害には明確な定義がないと言われていますが
子どもの愛着障害と同様に幼少期に十分な愛着が築かれなかったり、
不安定な愛着関係があったりすることが原因だと言われています。
ここ数年で愛着に問題を抱えたまま大人になった人たちの生きづらさに注目が集まっています。
愛着障害には4つのパターンがあります
愛着スタイルは以下の表のように大きく4つに分類されます
1.安定型 2.不安型 3.回避型 4.不安回避型(未解決型、混合型)
※いわゆる愛着障害とは2~4の不安・回避・混合型の状態を指します。
各スタイルに明確に分けられるわけではなく、一人の人が複数の傾向を持ちあわせていることが多いと言われています。
私のカウンセリングでは不安定な愛着の状態を「心の器に穴が開いている状態」だとお話しています。愛着に問題を抱えているひとは自分の心の穴を他人に満たしてもらおうとしがちです。
穴の開いた器にどんなに愛情を注いでもらっても漏れてしまうため
常に愛情に飢えた状態で苦しいわけです。
1.安定型
安定型は、幼少期に安定した愛着が築かれた方々です。自分の中に「安全基地」を持っていて他者との信頼関係を築きやすく、感情の安定が見られます。対人関係においては、安心感を持ち、自分と他者の感情を適切に理解し合えることができトラブルも少なめです。
2.不安型
他者との距離感が分らないため、どの程度の人まで愛情を示すべきか分からず
広範囲の人々の注意を引くために情動的行動をとりがち。
強い見捨てられ不安:
常に不安が強く、特に「見捨てられ不安」が顕著
周囲への気使いと依存:
常に周囲に気を使い、機嫌をうかがったり、相手に合わせたりする
相手がそっけないなど自分の感情が満たされないと、激しい不安に襲われる
低い自己価値感と他者への依存:
自己価値感が低く、他人の評価に敏感
身近な人に強く依存し、その存在で自分の存在価値を維持しようとする
背景と原因:
親が一貫性を欠き、子供の気持ちに十分な注意を払わない環境が原因とされる
親の不安や過干渉も影響し、無条件に愛される経験がない
対人関係の特徴:
愛着を求めるが同時に拒絶する傾向が極端
依存的で親密な関係になると執着し、試し行動が見られる
パートナーに対しては肯定と否定が同居し、愛されているかが重要視される
3.回避型
安心できる居場所がないために自己肯定感が下がりがちで、他人を信じられず助けを求められない、感情を出せないといった問題を抱えやすい傾向にあります。
養育者とのかかわりの乏しさ:
養育者とのかかわりが少なく、探索行動や再会時にも無関心あるいは回避的な態度をとる
ども時代に拒否的、回避的、統制的な親の関わりが原因とされる
親密さの回避と自立の重視:
成人後も親密な関係や情緒的な共有を好まず、距離を保つ対人関係を好む
自己責任を重んじ、他者に迷惑をかけないことを重要視する
クールでドライな印象:
感情に対して鈍感で、クールでドライな印象を与える
自己に自信がなく、安全基地がないことが回避を生み出す。
背景と原因:
養育者の情愛不足や過剰な支配が原因で発生しやすい。
父親の関与が少ない場合や褒められる経験が少ないことも影響する。
対人関係の特徴:
仲間といることを好まず、対立や葛藤を回避しようとする
ストレス時に攻撃的な反応がある。共感が難しく、相手の痛みを理解しにくい。
4.不安回避型(未解決型、混合型)
不安型と違って甘えることが苦手です。回避型の人のように人と距離をとることができません。
情緒不安定に陥りアルコールやギャンブルなどに依存しやすい傾向があります。
混乱と不安定性:
不安型と回避型の特徴が混ざっており、不安定な傾向が強い。
親対応が混乱しているため、子どものコミュニケーションも混乱を示す
相反する欲求とストレス感:
一方では人と仲良くしたいが、親密になるとストレスを感じて傷つく
自己開示できないが、他者に頼りたい気持ちが強い傾向がある
親との関係で傷ついた心の傷が癒えておらず、小さなことで混乱する
背景と原因:
虐待や過干渉、両親が感情的なのが主な原因だとされる
養育環境が極端に混乱している場合や、逆に支配的な親によって育てられた場合に生じやすい
対人関係の特徴:
甘えることが苦手で、相手を求めても親密になるとうまく行かなくなる
他者の言動が信じられず、自分がないがしろにされていると受け取る
過去のトラウマや幼少期の課題が、夫婦や恋愛関係で傷つきやすさを引き起こしています。これに対処し、自身の問題に優しく向き合い、心のケアを大切にすることが重要です。